太田和之税理士事務所

コラム

棚卸資産の評価

2022年5月2日

税務調査において「売上」と「仕入(原価)」はほぼ確実にチェックされます。

というのも、「売上」とその「仕入(原価)」は商売の根幹であり、また金額も多い為利益への影響も大きいからです。

今回は「仕入(原価)」の構成要素の一つである「棚卸資産」の評価について解説します。

 

 

棚卸資産とは

棚卸資産とは、いわゆる「在庫」のことを指します。小売業であれば「商品」などになりますし、製造業であれば「原材料」や「仕掛品、半製品、製品」などが該当します。

またこれら以外にも未使用の消耗品である「貯蔵品」も該当します。

 

 

税務調査で狙われる理由

棚卸資産は

 

①利益への影響が大きい

②棚卸資産の管理は自社社員が行うため、利益操作に利用されやすい

③意図的でなくとも中小企業では正確に計上する事は難しい

 

等の理由で税務調査で非常に狙われやすいです。

特に③が深刻で、正しい知識がなければどんなに真面目に棚卸しても税務調査で指摘を受けてしまうのです。

 

 

棚卸資産の計算方法

棚卸資産は「取得価格×数量」で計算されます。

「取得価格」も「数量」も山ほど論点があるのですが、今回は有名なものだけ紹介します。

 

 

計上漏れしやすい棚卸資産

計上が漏れやすい棚卸資産としては「未着品」や「トラック在庫」が有名です。

 

・未着品

注文したけれどまだ届いていない商品を指します。

例えば(3月決算として)3月31日に注文して4月1日に到着した場合、会計上は3月31に仕入計上しますので当然在庫計上が必要です。

しかし倉庫にはまだ届いていない為カウントが漏れてしまう事がよくあります。

 

・トラック在庫

発送したけれど、まだ売り上げていない商品を指します。

例えば4月1日に先方へ引き渡して売り上げるために3月31日にトラックに積み込んだ場合、売上が4月1日に上がるのであれば3月31日の時点では在庫計上が必要です。

しかし、未着品と同様倉庫にはもう存在しませんので計上が漏れてしまいがちなのです。

 

 

 

棚卸資産の取得価格

①購入した棚卸資産
「資産の購入代価+購入のために要した費用(引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税など)+付随費用」で計算されます。

 

付随費用とは、買入事務・検収・整理・選別・手入れ等に要した費用、販売所から他の販売所などに移管するための運賃等があります。
この付随費用については、資産の購入代価のおおむね3%以内の少額である場合には、取得原価に算入せず、支出した事業年度の費用とすることができます。

 

関税や運送保険料等を経費処理してしまい、在庫計上していないケースは非常によく見られます。

 

 

②自己製造等
「製造原価+付随費用」で計算されます。

購入の場合と同様、少額な付随費用は取得価額に含めないことができます。

 

棚卸資産の評価方法

棚卸資産の取得価格の計算は単に買った金額を合計するだけではありません。

大きく分けて「原価法」と「低価法」があり、「原価法」はさらに「最終仕入原価法」「個別法」「先入先出法」「総平均法」「移動平均法」「売価還元法」があります。

 

この評価方法は自分で選択し税務署に届出る必要がありますが、特に届出をしていない場合は「最終仕入原価法」を選択したとみなされます。

一度評価方法を選択したら原則最低3年間は評価方法を変えることが出来ませんので注意が必要です。

 

 

棚卸資産は税務調査で非常に狙われやすい論点です。

もし疑問に思う事があれば必ず税理士に相談するようにしましょう。

 

 

太田和之税理士事務所では棚卸資産の評価の相談にも対応しております。

安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。