太田和之税理士事務所

コラム

社宅を利用した節税

2021年12月19日

一口に”節税”といっても、その種類は多岐にわたります。

そしてその殆どは課税の繰り延べと呼ばれる手法で「納税を先に延ばす」だけで本当の意味で節税しているとは言えません。

本当の意味で”節税”出来る手法は限られております。

 

今回は限られた本当の意味での”節税”である「社宅の活用」について解説いたします。

社宅は出張日当等と同様人気のある節税方法で、法人成りする理由として「社宅が使える」という人もいるくらいです。

今回は小規模会社を想定して「役員の社宅」を前提とします。

 

社宅節税の概要

役員の住んでいるマンション等の賃貸物件の契約を会社名義とし、家賃を会社の経費で落とす節税方法です。

支払った家賃は会社の費用になります。

 

役員報酬を上げれば同じでは?

社宅家賃分だけ役員報酬を上乗せすれば同じ事じゃないか、という意見もあると思います。

確かに役員報酬を上げればその分全て費用になりますし、役員からすれば増えた給料を家賃に充てるだけなので一見同じように見えます。

しかし、役員報酬を上乗せすればその分社会保険料が上がります。さらに役員報酬が上がったことにより役員の所得税、住民税も上がってしまいます。

会社負担分の社会保険料も考慮すれば、上げた役員報酬の半分以上を税金でとられる、ということは当たり前にあります。

社宅を導入すればこのように無駄な税金を支払う必要が無くなるのです。

 

役員負担の家賃

社宅制度を導入する場合、会社はその入居者から家賃を徴収しなければなりません。

もし徴収しない、もしくはしても少額であれば「その家賃分は実質的に給与」とみなされ、上記の税負担が発生してしまいます。

節税効果を考えれば、役員負担分の家賃は最小限にしたいものです。

ではいくら以上徴収すればよいのでしょうか。

 

小規模な住宅の場合

床面積が99㎡以下(木造は132㎡以下)の住宅のことを小規模な住宅と言います。
一般的には、この小規模な住宅に該当する場合がほとんどとなります。

次の①~③の合計額が、役員が支払うべき最低限の家賃になります。

 

①(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
②12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
③(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

小規模以外の住宅の場合

小規模な住宅に該当しない場合、次の2種類に分けて役員の家賃を計算します。

(1) 自社所有の社宅の場合

次の①と②の合計額の12分の1
① その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%
② その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

 

(2) 他から借りた住宅を社宅にする場合
会社が支払う家賃の50%の金額と(1)で算出した金額の、いずれか多い金額

 

課税標準額が分からない・・・・

現実問題として「固定資産税の課税標準額が分からない」という事は往々にしてあります。

小規模な住宅に該当する場合は、とりあえず支払い賃料の50%を役員負担として徴収してもよいでしょう。

というのも、床面積や固定資産税評価額を基に計算すると、50%を越えることは少ないからです。

より高い節税効果を求めるのであれば床面積と課税標準額を調べてギリギリラインを攻める手もありますし、面倒であったりリスクを負いたくない場合はとりあえず50%での設定を検討しましょう。

 

社宅制度は非常に効果的で人気のある節税方法です。もし導入していないのであれば是非ご一考下さい。

 

太田和之税理士事務所では様々な節税方法をご提案させていただいております。

安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。