太田和之税理士事務所

コラム

法人設立時の手続き④~法人を設立した時の届出~

2021年11月21日

会社設立時の手続きについて、前回(資本金、決算期の決め方)からの続きです。

今回は法人設立後税務署や都道府県、市役所等にしなければならない届出書を解説いたします。

なお、資本金1000万円未満の法人を前提としております。また社会保険関係の届出は省略しております。

 

届出必須

・法人設立届出書

提出先  税務署

提出期限 設立登記の日から2か月以内

添付書類 定款の写し

 

・法人設立届出書

提出先  都道府県

提出期限 設立登記の日から2か月以内

添付書類 定款の写し・登記簿謄本

 

・法人設立届出書

提出先  市町村

提出期限 設立登記の日から2か月以内

添付書類 定款の写し・登記簿謄本

 

設立届は税務署・都道府県・村の3通提出する必要があります。

税務署に提出する際には登記簿謄本の添付は不要になりましたが、都道府県と市町村はまだ必要です。

 

 

届出ほぼ必須

・青色申告の承認申請書

提出先  税務署

提出期限 設立登記の日から3か月以内か最初の事業年度終了の日の前日のいずれか早い日

添付書類 無し

 

・給与支払事務所等の開設届出書

提出先  税務署

提出期限 事務所開設の日から1か月以内

添付書類 無し

 

・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

提出先  税務署

提出期限 特例を受けようとするとき

添付書類 無し

条件   給与支払いを受ける人が10人未満である場合のみ可能

 

この3点はとりあえずで(出せるなら)設立届と同時に出してしまっていいかなと思います。

出さない理由が考えにくい届出書です。

 

 

場合によっては届出した方が良い

・棚卸資産の評価方法の届出書 

・有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 

・減価償却資産の償却方法の届出書

提出先  税務署

提出期限 最初の申告期限

添付書類 無し

 

申告の際の評価方法の届出です。

とりあえず頭の片隅に置いて、申告の際に検討するくらいでもいいかと思います。

 

 

提出するか検討が必要

・消費税課税事業者選択届出書

提出先  税務署

提出期限 最初の事業年度終了の日まで

添付書類 無し

 

こちらは検討・提出漏れが非常に多い届出書です。

通常資本金1000万円未満の法人であれば、設立期は消費税の免税事業者になります。

しかし、場合によっては「あえて消費税の課税事業者を選択」した方が有利なケースもあります。その場合はこの届出書を提出する必要があります。

 

「あえて課税事業者を選択」した方が有利なケースとは、具体的には

 

(1)インボイス制度の開始により、取引相手との兼ね合いで課税事業者を選択するケース

(2)預かった消費税より支払った消費税の方が多くなるケース

 

が考えられます。

特に(2)は重要で、法人設立1期目は設備投資の支出が多く、売上は逆に上がらないケースが多々あります。

その場合は課税事業者になる事で消費税の還付を受けられる事があります。

この届出書を提出しなかったために数百万円単位で損をしてしまったというお客さんもいらっしゃいますので、是非注意してください。

 

 

課税事業者を選択するときの注意点

課税事業者を選択した方が有利な場合を紹介しましたが、選択する際には注意点もあります。

 

(1)2年継続適用

課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になった場合、その次の課税期間にすぐ免税事業者に戻ろうとしても出来ません。

原則として、2年間は課税事業者でいなければならないのです。

 

(2)調整対象固定資産を取得した場合は3年or4年継続適用

2つ目は、課税事業者になった課税期間と、その翌課税時間中に調整対象固定資産(※)の仕入等を行った場合には、その調整対象固定資産の仕入等を行った課税期間から3年間は、免税事業者に戻ることは出来ません。

つまり、課税事業者になった課税期間に調整対象固定資産を取得した場合は3年間、課税事業者になった翌課税期間に調整対象固定資産を取得した場合は4年間、課税事業者が継続適用されるという事です。

 

(※)調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物、建物附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一取引単位の取得価額(税抜)が100万円以上のものをいいます。

 

つまり、高額な資産を購入する事業年度だけピンポイントで課税事業者になり消費税の還付を受け、その後すぐに免税事業者に戻る事は出来ないという事です。

課税事業者の選択は綿密な試算が必要ですので、もし利用を考えている場合は必ず税理士に相談しましょう。

 

 

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会社形態の決め方

資本金・決算期の決め方
法人を設立した時の届出

 

 

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