コラム
日当を利用した節税
2023年6月8日
こんにちは、愛知県安城市にある税理士事務所、太田和之税理士事務所です。
以前解説させていただいた「社宅を利用した節税」は大変多くの反響を頂きました。
世間で「節税」と囁かれている手法は、そのほとんどが課税の繰り延べで本当の意味で税金を減らしているとは言えません。
そんな中、実質的にも税額を減らすことが出来る「社宅を利用した節税」はきっと納税者の心に響いたのでしょう。
今回は社宅を利用した節税と同様に、本当の意味での節税効果のある「旅費日当の活用」について解説いたします。
日当を使った節税の仕組み
仕事をするうえで出張が必要になる事は多々あります。このような場合には旅費規程に基づいて会社から日当を支給することが出来ます。
ここでいう日当は新幹線代やホテル代等の実費とは別に手当を現金支給する事をいいます。
この日当ですが、個人については非課税収入となりますので、所得税・住民税が課されることはありません。また、同様に社会保険料がかかることもありません。
一方法人にとっては経費になるので、法人税を引き下げる効果があります。
さらに消費税の計算上も課税仕入れとして扱われるため、消費税の節税にもなります。
日当の効果
例えば社長の役員報酬が月50万円(年収600万円)のケースを考えてみましょう。
一人身の場合、ざっくりとですが
所得税:200,000円
住民税:300,000円
社会保険料:900,000円
が社長のお給料から差し引かれます
さらに社会保険料は労使折半ですので、会社も社会保険料900,000円を負担する必要がありますので、
ざっと法人個人合算で2,300,000円の負担になります(改めて見ると大きいですね!)
一方で、この社長が月10日ほど出張していたとします。
そこで出張1日当たり1万円の日当を支給し、代わりに役員報酬を月40万円(年収480万円)に引き下げたとします。
すると社長の負担分は
所得税:120,000円
住民税:220,000円
社会保険料:720,000円
となり、法人負担分720,000円を加えても1,780,000円の負担で済みます。
さらに、日当10万円は消費税の課税仕入れになりますので、消費税も年間で100,000円以上減らすことが出来ます。
ざっくりとですが、60万円の節税に成功して社長もホクホクでしょう
日当の支給要件について
上記のように非常に有利な節税方法である日当の支給ですが、当然無制限に支給できるものではありません。
日当が税務調査で否認されない為には支給要件を満たす必要があります。
その要件は通達(所得税法基本通達9-3)にありますが、
要約すると
・全役員及び使用人を対象とている事
・役員や使用人、及びその地位で適正な差を設けることは問題ない
・日当の計算が「基準」に基づいて行われている事
・不当に高額でない事
を要件として日当の支給が可能になりますす。
日当の支給には「日当の計算が基準に基づいて行われている事」にある通り「基準」が必要ですので、
日当を支給しようとしたら、まずは基準である旅費規程を作成する必要があります。
出張報告書の必要性
交通費と宿泊代といった費用は領収書等の証拠が残ります。
しかし、日当には領収書等はありませんので対外的な証拠が残りません。
ですから、いつ、誰が、どこに、何のために出張したかがわかるように出張報告書は必ず作ってください。
出張先や面談した相手先名が分かるスケジュール管理表の様なものでもかまいません。
必ず証拠を残す様にしておいて下さい。
日当はいくらなら否認されないのか
これは非常に難しい問題になります。
いくらなら大丈夫、と言い切る事はおそらく不可能でしょう。
何故なら役員報酬の額とも連動するからです。
役員報酬が年額60万円の社長と年額5,000万円の社長では日当額が違うのは当然と言えば当然です。
参考までに平均的な数字を挙げると、日帰り出張なら
・社長 5,000円
・取締役 3,000円
・一般社員 2,000円
程度かと思います。
これくらいの金額であれば税務調査で指摘されることはほぼないでしょう。
感覚的には社長で日当1日あたり1万円くらいが安全圏かなと思っています。
もちろん会社によって事情がありますので、一概に言い切る事は出来ません。
太田和之税理士事務所では様々な節税方法をご提案させていただいております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。