コラム
年末調整の流れ
2021年11月30日
明日から12月ですね。税理士の繁忙期が始まります。
会社としても年末調整、法定調書、償却資産税とやることが盛りだくさんの季節です。
今回は年末調整の基本的な流れを説明させていただきます。
年末調整とは
毎月の給料から天引きされている所得税について、年末に最終的な納税額の調整をすることです。
会社が年末調整をすることで払いすぎ税金は還付され、逆に不足している場合には税金を徴収されます。これにより1年間の正しい税額を納めたことになるのです。これは給与を支払う側の義務となっています。
よく「確定申告するから年末調整しなくていいよ」という人がいますが、本来年末調整は義務なので「する」「しない」を選択できるものではありません。例外として給与が2,000万円超の従業員は年末調整の対象外です。
年末調整の流れ
1.給与総額と徴収額の計算
対象となる従業員の1月から12月の間に支払われた「給与や賞与の総額」と源泉徴収した「徴収税額の総額」を計算します。
注意が必要なのは、対象の従業員がその年に前職の給与がある場合は、これも合算します。なのぜ前の職場から源泉徴収票を貰ってもらう必要があります。
2.各種所得控除の合計額の計算
各種所得控除額を正しく計算するため、以下の書類を控除の証拠として収集し、「所得控除の合計額」を計算します。
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・従業員が加入する生命保険・地震保険などの保険料控除証明書
・給与・賞与以外で支払った社会保険料の保険料控除証明書
・住宅ローン控除のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
上3枚の申告書は自分で記入して会社に提出する必要がありますが、年々内容が複雑になっています。
特に配偶者の予想年収を書く欄には注意が必要です。収入(=額面)を書くのか所得(=額面△各種控除)を書くのか確認しましょう。
予想より収入が多かったり少なかったりすると年末調整がやり直しになるケースもありますので、気を付けましょう。
(というかこのシステムは無理があるんじゃないかと思います)
3.算出所得税額の計算
「課税給与所得金額」から、「算出所得税額」を計算します。
4.住宅ローン控除額の控除と年調所得額の計算
2年目以降の住宅ローンについては年末調整での控除となります。
住宅ローン控除の適用がある場合は、これを差し引いて「年調所得税額」です。
5.年調年税額の計算と過不足額の還付・徴収
1で算出された源泉徴収税額の総額が「年調年税額」より多ければ差額を「還付」、あるいは、少なければ差額を「徴収」します。
6.所得税徴収高計算書の作成と源泉所得税の納付
「所得税徴収高計算書」の提出とともに、1月10日までに「源泉徴収税」を税務署に納付します。
納期の特例を受けていると、7月から12月までに源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は1月20日が納付期限となります。
なお、税理士等に報酬を支払っている場合は源泉所得税を差し引いて支払いをしているかと思います。
この時徴収した源泉所得税もここで支払います。
7.源泉徴収票・法定調書合計表・給与支払報告書の作成と提出
従業員へ精算した後に以下の書類の作成・提出を行います。
・源泉徴収票(給与支払報告書)を作成し各従業員の所在地となる市区町村へ提出
・「法定調書合計表」と「源泉徴収票」を税務署へ提出
年末調整がスムーズに実施できるかどうかは「各種申告書のスムーズな回収で決まる」ともいえます。申告書の提出依頼や催促など早めに行いましょう。
太田和之税理士事務所では年末調整業務を行っております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。