太田和之税理士事務所

コラム

税務調査で社長個人の銀行口座は見せなければいけないのか

2021年11月5日

法人に税務調査が入った際、調査官に「社長個人の銀行口座を見せてください」と言われることはよくあります。

 

「法人の調査なのに個人の通帳を見せなくちゃいけないの?」

 

と疑問に思いつつも、調査官がいう事なので仕方なく・・・・・という対応が殆どだと思います。

今回はこの事例を法的な側面と実務上の側面から解説したいと思います。

 

 

法的解釈

まず法人税に対する質問検査権の相手方はあくまで「法人」であり、調査対象に出来るのは「(法人の)帳簿書類その他の物件」と定められています。

よって原則的には社長個人の通帳は調査の範囲外となり見せる必要はありません。

ただし、社長個人の通帳を法人の事業に使用している場合は別です。

 

例えば

・法人成り直後でまだ社長個人の口座を法人の口座として利用している場合

・キックバック等を社長個人の口座で受け取っている場合

 

は法人の口座も同じですから調査対象となります。

 

 

 

実務上の対応

では法人の事業と全く関係のない社長個人の銀行口座であれば開示要請を断固拒否した方がいいのかというと、これは少し考える必要があります。

確かに法的には開示する必要はないのですが、調査官がその気になれば個人口座は銀行に照会をかけることが出来ます。よってあえて拒否する意味がないとも言えます。

また開示を拒否した口座にキックバック等の入金があった場合、開示の拒否を「隠ぺい行為」と捉えて重加算税を課される可能性が高いです。

もし自ら個人口座を開示した場合は単なる計上漏れで済む可能性もありますので、下手に拒否する事で不利益を被る可能性は考えなくてはいけません。

 

 

もちろん社長個人としてはやましいことがなくても個人口座を見せるのは抵抗があるでしょう。税理士としても「法的に義務ではありません」と調査官の主張を跳ね除けた方が「納税者の為に闘う税理士!」感が出てカッコイイとは思います。

しかし、それ故に経済的な損失が出る可能性も考えなければいけません。

 

 

結論

結論としましては、法律的には見せなくても大丈夫です。しかし、見せない事による不利益も大きいので、「あえて見せる」は戦略として十分価値があります。

 

 

 

太田和之税理士事務所では税務調査対策に力を入れております。

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