コラム
貸倒損失~法律上の貸倒れ~
2023年6月22日
前回に続きまして貸倒損失について解説します。
前回の記事で通達上貸倒れには「法律上の貸倒れ」「事実上の貸倒れ」「形式上の貸倒れ」があると伝えました。
法律上の貸倒れ
法律上の貸倒れは法人税基本通達9-6-1で取り上げられており、
①法的整理手続による債権の切捨て
②法的整理手続によらない関係者の協議決定による債権の切捨て
③債務者の債務超過状態が相当期間継続し、弁済不能のため、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除
が該当します。
①の法的整理手続きは
・会社更生法による更生計画の認可決定
・会社法による特別清算に係る協定の認可決定
・民事再生法による再生計画の認可決定
によるものですが、いずれも裁判所による認可決定を受けることが要件です。
要するに倒産の事ですので、損金性が問題になる事はまずありません。問題になるとすれば損金算入時期ですが、これは裁判所による認可決定があった日になります。
法律上の貸倒れは損金経理の要件はありませんので、後から倒産の事実を知った場合は更正の請求手続きを行う事が可能です。
②の関係者の協議決定による債権の切り捨ては
・債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
・行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約
が該当します
③の債務者に対し書面により明らかにされた債務免除は少し注意が必要です。
基本的には債務超過で今後も返済を見込めないので債務免除した場合は貸倒損失になる、という事なのですが、以下の点に注意してください
・債務者の債務超過状態が相当期間継続
昨日今日債務超過になっただけであれば適用できないのです。
相当期間とは一般的には3年以上と言われています。
・弁済不能のため
債務超過が長年続いていても弁済が可能なケースは数多くあります。
回収が可能な場合には債務免除額は「寄附」したものとみなされ、全額損金に算入できない事もあります。
次回は事実上の貸倒れについて解説したいと思います
太田和之税理士事務所では貸倒れ等の相談にも対応しております。
安城市以外でも刈谷市・碧南市・大府市・豊田市・豊橋市等の愛知県全域に対応しておりますので、ご興味がある方は是非一度ご連絡ください。