太田和之税理士事務所

コラム

インボイス制度①~消費税の課税~

2022年5月24日

2023年10月よりインボイス制度が導入されます。

インボイス制度とは簡単に言えば「免税事業者に対する経費の支払いは仕入税額控除を受けることが出来なくなる」という改正なのですが、こんな説明を受けてもよく分かりませんよね??

そこで今回のコラムではインボイス制度を解説する前に消費税の課税がどのようにして行われているかを説明したいと思います。

 

 

消費税とは

消費税は消費者が物を買ったりサービスを受けたりする際に課せられる税金です。従いまして本来事業者は消費税を負担する必要はありません。

しかし、消費者が物を買うたびに税務署に行って消費税を納める、というのは現実的ではありません。

そこで消費者に物を売った事業者が消費者から消費税を預かって、後でまとめて国に納める事になります。

 

 

消費税の納税額

では事業者が納める消費税の納税額はどのように計算すればいいのでしょうか?

 

例えば事業者Aが10,000円の商品を消費者に売った場合、消費税を含めて11,000円を受け取ることになります。

この差額の1,000円が事業者が国に納める金額となります。

 

これだけなら単純なのですが、物事はここまで単純ではありません。実はこの事業者Aが売った商品は事業者Bから7,700円で買ったものなのです。

この事業者Bも商品を販売する際に消費税を上乗せして請求しますので、Aが買った7,700円の商品の金額の内訳は「商品7,000円+消費税700円」となります。

 

つまり事業者Aから見れば「商品を売って1,000円の消費税を預かっている」けれども「商品を買って700円の消費税を既に支払っている」状態となります。

事業者Aは1,000円の消費税を納めたくてはいけないのですが、既に700円の消費税は支払っていますので、後日差額の300円(=1,000円-700円)だけ国に納めることになります。

 

消費税の納税額はこのようにして計算されます。

 

 

消費税の免税事業者

 

なるほど、預かった消費税を支払うだけなら事業者には損も得もないよね。・・・・・とはなりません。

実は消費税を預かったけども国に納めなくてもよい事業者もいるのです。

 

細かい説明は省きますが、ざっくりと「売上1,000万円以下」の事業者は消費税の納税しなくてよいのです。

「小さい事業者に消費税の計算のような煩雑な事務手続きをさせるのは酷」という国からの配慮だと考えてください。

 

この時の1,000万円の売上は「今年の売上」ではなく「前々年の売上」で判定されます。

理由は「今年の売上は来年にならないと確定しない」ので、今年or来年の売上を判定の基礎にすると「今年は消費税を納める必要があるのかどうか分からないまま事業を進めなくてはいけなくなってしまう」からです。

課税か免税かで事務処理に違いがありますので、これでは都合がよろしくありません。

 

 

最初の2年間は消費税を納めなくていい!??

 

「個人事業を開始、若しくは法人を設立してから2年間は消費税を納めなくていい」という事を知っている方は結構いらっしゃいます。

というのも事業開始1年目と2年目は「前々年の売上」がそもそもありませんので、判定の基礎になる売上高は0円でカウントされます。従いまして「前々年の売上が1,000万円以下」なので消費税を納める必要がないのです。

 

 

山のようにある例外規定

消費税の納税義務の説明をざっとしてきましたが、実際は例外規定が山のようにありますのでご自身で判断されず必ず専門家に相談しましょう。税理士でも納税義務の判断を出来ない方がいらっしゃるほど複雑な規定になっております。

また、開業1年目でもあえて消費税の納税義務者になって消費税を国から還付してもらう、という手法もあります。

 

 

如何だったでしょうか。

まずは消費税の基礎の基礎を説明させていただきました。

次回以降はこれをふまえてインボイス制度の説明に移りたいとおもいます。

 

太田和之税理士事務所では消費税の納税義務やインボイス制度の相談も承っております。

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